釦(ボタン)の話【名古屋広小路通り店】
こんにちは。
鈴木(晴)です。
本日は釦(ボタン)のお話になります。
釦は、オーダースーツのオプションとして水牛釦にする方がかなり多くなっています。
今回のブログでは視点を変えて、歴史や国ごとに見る特徴について触れていこうと思います。
各国の釦事情に入る前に、まずはスーツで使用される主な釦の種類をご紹介します!
①プラスチック
既製服ではプラスチック釦である事がほとんどです。
耐久性があり、大量生産しやすいので安価です。
②水牛
水牛の角を使用した釦。
色味はおおよそ同じであるものの、一着のスーツに使用されている中でも模様が若干異なってきます。
有料のオプションとして用意しているところがほとんどです。
③ナット
ヤシの実から作られる釦。染色をしている為、色や模様が統一されています。
水牛に次ぐ高級ボタンとして古くから使用されています。
水牛釦が出てくるまでは、ほとんどナット釦が使用されていました。
④メタル
通常のスーツで使われることは少なく、ブレザーやジャケパンスタイルで使用されることが多いです。
⑤貝ボタン
貝殻を削りだして作られた釦で、ツヤがすごく、明るいカラーのものが多いのでカジュアル向けの釦になります。
スーツではなくシャツの高級釦として貝釦が使用されることが多いです。
このほかにも、レザーやくるみ釦などがあります。
続いて、各国の釦事情です!
イギリス
水牛・ナットが使われることが多いです。
サヴィル・ロウ(ロンドンの仕立て屋街)の一部では、生地と色味を完全に合わせるために、あえてプラスチック釦を使用するテーラーもいます。
釦の形は、縁が盛り上り中央部分は平らなお盆型に中央がくぼんだものが使われます。
これ以外はほとんど使われません。
イタリア
水牛釦がほとんど。一部では貝ボタンも使用されることもあります。
釦の形は、中央がくぼんだお椀型が多く、一説には重ね釦がやりやすいからとも言われています。
アメリカ
水牛・プラスチックが使われることが多いです。
釦の形は縁が盛り上り、中央部分は平お盆型がよく使われます。
このように国によっても特徴が違うので、釦選びの参考になればと思います!
そして、釦と言えば袖の釦を何個にするか、重ねるか迷う方が多くいます。
選び方をいくつかご紹介します。
①前釦+1個
フロントの釦に1足した数が適正という考え方です。
フロントデザインが2つボタンであれば、2+1で3個。
3つボタン(段返り含む)であれば3+1で4個。
ダブルブレストの場合は、横並びの釦は1として数えます。
6つあるデザインの場合は3として計算します。
②前釦、袖釦を合計して5個
フロントの釦と袖の釦(片側)が合計で5個になるようにするというもので、古い英国式スーツで用いられていた考え方です。
当時フロント3つボタンが主流でこの法則から行くと2つになりますがややカジュアルな印象になるため、この場合は3つでも許されていたようです。
現代では、この考え方はあまり主流ではありません。
フロントが2つボタンならば袖は3つ
3つボタン(段返り含む)であれば、袖は2つ若しくは3つ。
ダブルブレストは、①と同様に横並びを1として数えます。
考え方として2種類ご紹介しましたが、これが絶対ではございません。
例えば、イタリアはフロントデザインにかかわらず、4つであることがほとんどです。
イタリアの影響が強い日本のスーツ業界は4つが基本です。
イギリスでも最近では4つがデフォルトであることが増えてきています。
また、重ねるかどうかですがイギリスのスーツにおいて釦を重ねることはほぼありません。
釦を重ねるのはイタリア系スーツの特徴なので、悩まれている方は参考にしていただければと思います!
名古屋広小路通り店 鈴木(晴)