礼節が人を作る – Kingsman The Seacret Service -【名古屋広小路通り店】
こんにちは。
鈴木(晴)です。
今回は、「キングスマン」という映画に出てくるスーツについて書いていこうと思います。
まず、キングスマンを皆さまはご存知でしょうか。
2015年に公開された映画で、イギリスとの仕立て屋街サヴィル・ロウの”キングスマン”というテーラーを隠れ蓑に暗躍するスパイ映画です。
実在する「Huntsman」というテーラーがモデルになっており、キングスマンのようなスーツを仕立てたいとご来店いただく方もいます。
今回はキングスマンの中でも、ハリー・ハートという人物が着用しているスーツについて解説していこうと思います。
(引用:http://kingsman-movie.jp/)
スーツの仕様は
・ダブルブレスト6釦2つ掛け
・サイドベンツ
・腰ポケットは平行でフラップ付き
・チェンジポケット無し
・本切羽
・4つボタンで重ね無し
・ノータック
・ベルトループ無しの脇尾錠
・裾口はシングル
映像内で確認できる限りではこんなところでした。
続いてシャツの仕様ですが
・セミワイドカラー
・表前立て
・胸ポケット無し
・ダブルカフス
ジャケットを脱いでいるシーンはほとんどない為、探すのは大変でしたがこんなことろでしょう。
ハリーは英国の上流階級出身でありながら、貴族社会を嫌っていました。
以前のブログでイギリスでは、本切羽にしても釦は全て留めたままの人がほとんどと書きましたが、ハリーは違います。
この写真のシーンでは袖ボタンの一つ目を外していました。
また、腕を上げた時にジャケットが引きつっていないことからアームホールは狭いと思いますが、袖はシャツのダブルカフスと比べてもかなり大きくなっています。
袖口に行くにつれて徐々に広くなっているのでしょう。
深めの股上と、長い着丈はクラシックな雰囲気も醸し出しています。
そしてサイズ感ですが、体のラインが出るような細身のシルエットでありながら程よいゆとりを持ったサイジングです。
シャツは、ウィンザーノット(もしくはセミウィンザー)なのでセミワイドカラーでいいかと思います。
ワイドカラーは開きすぎな気がします。
袖はダブルカフスという仕様で布が折り返してあり、釦がついていません。
そのため、カフリンクスで止める必要があります。
カフリンクスは現在主流なスウィヴル式ではなく、最も古典的なチェーン式でした。
また、カフス幅は通常7cmほどで真ん中にカフリンクスが来るようになっていますが、キングスマンではカフリンクスの位置が1cmほど前にずれています。
これは衣装を制作したTurnbull & Asserの特徴です。
パターンオーダーで対応してくれる店は少ないため、完全再現するならビスポークで作る必要があるでしょう。
前立ては、英国なので当然表前立てで胸ポケットもなしです。
伝統を重んじる英国人でありながら、特権階級に懐疑的で変化を柔軟に受け入れるハリーの性格が出ていますね!
このスーツの仕様をグローバルスタイルでご注文頂いた場合
生地代+オプション10,000円(ダブルブレスト、本切羽、脇尾錠)となります。
裏地や釦は無料の物として計算しておりますので、そちらもこだわるようであれば、金額は少し上がります。
キングスマンで着用されているスーツの生地は「DORMEUIL」という英国の生地です。
使われているシリーズは「ICE」というシリーズで、ウール88%、モヘア8%、カシミヤ4%、目付290g、ライトフランネルの生地が主に使われています。
従来のイギリス生地のような風合いを見せながら、非常に柔らかく、美しいツヤを放つ秋冬の生地です。
残念ながらグローバルスタイルに「DORMEUIL ICE」シリーズはございませんが、同じDORMEUILの別シリーズの生地はございます。
展示している生地見本で一番近い生地とネクタイがありました。
本編では、主人公のエグジーに武器の紹介をしているシーンになります。
DORMEUIL Amadeus Conmfort
というシリーズで、華美な光沢と耐久性が特徴の生地です。
目付260gで、通年ご着用頂けます!
こちらの生地ですと
一着118,000円
コンビ価格70,000円からになります!
今後も、キングスマンや他の映画の衣装もまとめていければと思います!
鈴木(晴)