トラウザーズの話 ベルトレス編【名古屋広小路通り店】
こんにちは。
鈴木(晴)です。
今回はトラウザーズのベルトについてのお話です。
皆さまのほとんどがスーツはベルトを締めて着用しているかと思います。
しかし私は、実はベルトが好きではありません。
初めてスーツをオーダーして以来、いつもベルトループは無しで仕立てています。
今回はスーツスタイルにおいてベルトを付けないという選択について深堀していきたいと思います!
ベルトの登場
そもそも、スーツはベルトではなくブレイシーズで吊って着用するものでした。
やがてブレイシーズが廃れて現代に近づくにつれ、スーツの股上が浅いローライズが流行り、今もまだその流れを引き継いでいる状態です。
骨盤よりも履き位置が下の方もいます。
そういう方はベルトが無ければそのまま擦り落ちてしまうでしょう。
しかし、スーツの標準といわれる股上のサイズはへその高さ辺りで、骨盤に支えられるためにベルト無しでも落ちていかなかったのです。
深いものではへそよりも上に来るものもありました。
転機が訪れたのは第一次世界大戦前後、一人ひとりに合わせていたら生産が間に合わない理由からサイズをある程度規格化したことです。
そこから軍服やカジュアルパンツなどの機械生産のものは少し大きいものを選んでベルトで絞めるという流れができてきました。
しかし現代でもヨーロッパではスーツにおいてはベルトレスが主流です。
明治時代に西洋化が進んだ日本にもスーツスタイルは取り入れられましたが、長らくはオーダーによるものしかなかったためヨーロッパと同じくベルトレスが主流でした。
大戦後、機械による薄利多売・大量生産の時代が到来し軍服と同じくベルトが主流となりました。
そして現在、スーツでベルトをしないのは「非常識である」という共通認識が広まってしまいました。
確かに、ベルトループがあるにもかかわらず着用しないのはだらしないと思われても仕方ありませんが、そもそもループが無ければつけようがありません。
ベルトを付けないメリット
前述のとおり私はベルトレスを推奨しています。
その理由のひとつめはベストが浮いてしまう事です。
スーツはジャケット、トラウザーズ、ベスト(ウエストコート)のスリーピースで仕立てるのが一般的でした。
ベストは境目が無くまるでひとつなぎのようにトラウザーズと繋がるのが美しいとされています。
そこにベルトがあるとベストが浮いてしまい、くっきりと境目が出てしまいます。
2つめの理由はシャツが出にくくなるという事です。
近年の流れで股上が浅いローライズ気味の方が多く、トラウザーズのトップとシャツの裾までの距離が短いためシャツが全部出てしまうという方がいます。
ベルトレスにすると股上がへそ位置くらいになるため、シャツが出にくくなります。
また、革製品(腕時計のバンド、ベルト、シューズ)の色を統一しなければまとまりが取れづらいため、わざわざ時計やシューズに合わせてベルトを複数用意する必要が無くなります。
ベルトレスデザイン
ベルトレスにしたとき、帯と呼ばれる部分には尾錠を付けるのが一般的です。
数cmほどならば締める事ができるため、サイズ調整の意味合いで付けられるようになったそうですが、現在は装飾として付けられることが多いです。
わざわざオーダーであることを喧伝して回るのは紳士的ではないと思いますが、ベルトレスにすると密かにアピールはできます。
是非ご検討ください!
名古屋広小路通り店 鈴木(晴)