クワイエットラグジュアリー【博多駅中央街店】
今期のドレストレンド、強いて挙げるとしたら「クワイエットラグジュアリー」
ロゴドンやデコラティブの反動+ノームコアの上位互換のような認識です。
中村のフィルターを通し、分かりやすく言い換えると「上質なアンダーステイトメント」になります。
ここでラグジュアリーとは何ぞやという話になります。
最近ラグジュアリーとプレミアムの違いを知ることが出来たので、少しだけお話させていただきます。
結論から申し上げますと、プレミアムは「競合に勝ったもの」・ラグジュアリーは「競合がないもの」らしいです。
縦軸に機能(役に立つ)・横軸に価値(ブランド力)という4象限座標を考えます。
プレミアムは第1象限(商品単価が低い場合は第2象限)に属し、ラグジュアリーは第4象限に属すでしょう。
ただし、プレミアムの場合、価格競争に勝つ必要があるので値段は「競合より少し上」に設定せざるを得ません。
ラグジュアリーは競合がいません。
上記座標軸の第4象限ということは機能(役に立つ)は考えなくても良いんです。
つまり値段は「言い値」になります。
ということは値段を設定する際、プレミアムとラグジュアリーの考えだとラグジュアリーの考えを採用した方が吉です。
では、どうしたらラグジュアリーに設定できるのか。
結論、「ラグジュアリー = 認知度 - 普及度」の値を大きくすることに限ります。
本日のコーディネートはぱっと見普通のダブルスーツの上下です。
しかも生地はカノニコ。
ネクタイも濃紺で靴はブラックのストレートチップ。
チーフも白リネンのピークス。
明らかに普通です。
ではなぜ、冒頭のような話とこのコーディネートをリンクさせようとしているのか。
クワイエットラグジュアリーの話に戻ります。
このスーツ生地、ブランドはカノニコですがウールモヘアのダークネイビーのバラシア。
所謂ミッドナイトブルーのタキシードクロスです。
目付が330程度なのでウィンターモヘアの部類です。
ネクタイは日本に存在する最も低速な織機で針が折れる寸前までに打ち込んだ縦畝の濃紺。
シューズは羽根の部分に白鳥の頭のような意匠のあるスワンネック。
そしてチーフは一般的なスリーピークスではなく、上皇陛下が好まれるフォーピークス(挿れ方は少し違います。)です。
ジャンニアリエッリさんやディエゴデッラヴァッレさんも少し崩したフォーピークスを好まれます。
さて、中村のアイテム詳細を聞いた後、「はぁ?そこまで知らんわ」となって頂けたでしょうか。
各アイテムの認知度はかなり高いはずですが、そこまで普及していないものばかりです。
別にラグジュアリーを意識したわけではありません。
上質なアンダーステイトメントを体現したつもりです。
プロフェッショナルとしてスーツを着始めて5年以上が経ち、ようやくアンダーステイトメントが分かるようになりました。
梳毛のスーツにニットを合わせる。
内羽根の靴に素足履き風。
ローファーを素足履き風に見せたくてフットカバーが見えている。
他人の着こなしは正直どうでも良いですが、一つだけ言えることがあります。
ファッションは自由だと勘違されやすいです。
ただ、正解はなくとも最適解は存在します。
5年間の中で多くの方の対応をさせて頂きましたが、最適解の教示の最大化が出来たかと言われたら、全力で頷くことはできません。
多くの方は本質的な最適解を知ろうとせず、トレンドや集団を意識されているような所感です。
それがその方の最適解であれば構いません。
博多駅中央街店
中村