トラウザーズの話 ピスポケット編【名古屋セントラルパーク店】
こんにちは。
鈴木(晴)です。
久しぶりにスーツのディティール紹介をします。
一度しか取り上げる事の無かったトラウザーズ(スラックス)についてです。
その中でもピスポケットと呼ばれるお尻のポケットについて解説します。
通常は左右にひとつずつポケットを配置されています。
「ピス」はピストルのことで、昔ポケットに護身用のピストルを差していたことからその名が付いたと言われています。
ぱっと聞いただけでは暴発などが怖いと感じるかもしれませんが、当時は回転式拳銃(リボルバー)が主流でした。
セーフティ(安全装置)こそないものの、シングルアクションが多かったためハーフコックないしはハンマーを起こさないことで安全装置の役割を果たしていました。
ダブルアクションもあるにはありましたが、引き金は平均5ポンド(約2kg)とかなり重たく、誤射の可能性はかなり低かったと思われます。
玉縁
玉縁とはポケット布とは別に裁断した布でポケットの切り口を処理したポケットのことです。
別名パイピングとも言います。
その中でも2種類に分かれます。
左:片玉縁
右:両玉縁
両玉縁
ポケットの上下に玉縁が付いている仕様です。
現在、世界の主流はこの両玉です。
片玉縁
ポケットの下側のみに玉縁が付いており、強度に優れていると言われています。
イギリスでは基本的に既成・ビスポーク問わずこの片玉縁ポケットが標準です。
釦留め
ピスポケットに関して外せないのが、釦です。
お客様にデザインを伺う際、ピスポケットの釦留めはどれがいいかとかなり迷う方が多いです。
留め方としては
・左右釦留め
・左のみ釦留め
・右のみ釦留め
・左右釦なし
の4種類です。
ビジネス業界では左のみ釦留めというのが標準とされています。
理由はポケットにハンカチを入れるため。
左利きの人はその逆で右のみ釦留めとされています。
何も入れない方はポケットが開くのを防ぐために左右釦留めを勧めています。
ちなみに、ジャケットの裏地を背抜き私用にしている方はピスポケットの釦が引っかかる事がありますのでご注意ください。
また、普段ピスポケットに何か物を入れている方も多いと思います。
基本的にヒップサイズは物を入れない前提でサイズを取っているので、何か厚みのあるものを入れるとパツパツになってしまいます。
財布やスマホを入れるのは望ましくはありませんが、どうしてもという方は採寸時にお声がけください。
ご来店お待ちしております。
名古屋セントラルパーク店 鈴木(晴)