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ジャケットの話 ダブルブレスト編【名古屋セントラルパーク店】

2024.01.23 GINZAグローバルスタイル 名古屋セントラルパーク店
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こんにちは。

 

鈴木(晴)です。

 

以前のブログでも書きましたが、私はダブルブレストが大好きです。

持っているスーツも7割がダブルです。

 

世間では、まだバブルの印象を引きずっているのかおじさんが着るもの、太って見えるなどという印象が強く残っています。

みんなダブルを着る事になってもそれはそれで困るので、ひっそりとお話しします。

 

以前フロントデザインについての解説をしましたが、もう少し深堀りして行きます。

 

そもそもダブルブレストとは

ダブルブレストとは、前身頃の重なる部分(打ち合わせ)が広く、2列にボタンがついているジャケットのことです。

もともとは軍士官が外出する際に着ていた制服に由来します。

ボタンが1列に並んでいるシングルブレストよりもダブルブレストの方が見た目に重厚感があり、フォーマルな印象を与えますがシングルとダブルで格の違いはありません。

 

 

ダブルブレストではシングルのように衿の形やフロントの形はある程度決まっています。

 

衿はピークドラペルのみになります。

それ以外の形はビスポークでは対応してくれる店もあるかもしれませんが、一般的ではありません。

 

フラワーホールは左右の衿に付いていることも多かったですが、近年ではシングルと同じく左のみです。

 

ベントはサイドベンツであることが殆どで、カジュアルなジャケットではノーベントで作られていることもあります。

軍服が由来のダブルではサーベルを脇に差すことからサイドに切れ目を入れたというのが由来と言われています。

しかし、1930年代のスーツを見るとダブルブレストでもセンターベントで作られている事があります。

打ち合いの重なりが深いので通常のセンターベントだと動きづらいと思いますが、切れ目を深くすることで可動域を確保しているのだと思います。

 

現代では一般的なデザインではないので、パターンオーダーでは対応できない店が殆どです。

 

 

 

サイズ感によってそのジャケットがどの国の雰囲気になるかが変わります。

イギリスではウエストに皺が出ないジャストサイズで着丈は長めに設定しています。

専門的な用語で説明すると、総丈(第七頸椎の辺りからかかとまでの長さ)の半分が目安で短くするとしてもそこから2cmほどです。

 

イタリアではウエストに皺が出るほどきつく絞ったタイトサイズで着丈は短めになることが多いです。

長くても、総丈/2-3cm程でイギリスよりも3cmほど短くなります。

一人ひとり骨盤の位置が違うので基準として不明瞭ではありますが、長くてもお尻が8割隠れる程度。

短いものだと5割程度しか隠れていないものまであります。

 

着丈を短くすると胴長に見えてバランスが悪くなる事が多いので、スタッフに相談しながら進めた方がいいかと思います。

 

 

また、釦の数や留める位置で様々な種類があります。

代表的なものをご紹介します。

 

6つ釦1つ掛け

釦が縦に3つ、横に2列の合計6つ付いており、、そのうちの1つだけを留めるデザインです。

Vゾーンが広くなるので、エレガントな印象を与えますが、細身のシルエットで着るのは難しいデザインです。

 

1970~1980年代に大きく流行したことからやや古いと感じる人もいます。

 

 

6つ釦2つ掛け

釦が縦に3つ、横に2列の合計6つ付いており、そのうちの2つを留める事ができます。

2つ掛けとはなっているものの、実際に留めるのは上の1つだけであることが殆どです。

ダブルブレストでの一般的なデザインとして知られていて、Vゾーンが狭く、クラシカルな印象とフォーマル感を演出できます。

 

グローバルスタイルではこのデザインのみ、ご用意があります。

 

 

8つ釦3つ掛け

釦が縦に4つ、横に2列の合計8つ付いており、そのうちの3つを留めることが出来るデザインです。

かなりクラシックなデザインで、受注出来るパターンオーダーの店は少ないかと思います。

1920~1940年代に流行りました。

Vゾーンが極端に狭く、ネクタイでシャツが殆ど見えないためかなり堅い印象を与えます。

 

 

 

1つ掛けを除いてどのデザインも基本的には釦は一番下を開けて着ます。

また、シングルブレストは座る際に釦を外して座ることが推奨されていますがダブルは留めたままです。

 

たまにダブルで立っている時も釦を全て外して着ている人がいます。

もちろん休憩中などであれば特に口出しする筋合いは有りませんが、人前に出る際も開けっ放しに人もいます。

 

シングルであればシルエット的にもそこまで崩れる事はありませんが、ダブルの場合は打ち合いの分前身頃の面積が広く釦を外した際に裾が大きく広がってしまって不格好になります。

 

 

 

 

 

 

そんなダブルで意外と知られていない仕様があるのでご紹介します。

それは、前身頃の内側の釦留めです。

釦留めとは打ち合いが広いと重力でウエストあたりに変な皺が寄ってしまうため、重なりの内側でも釦を留めて形をキレイに保つ役割があります。

 

 

釦留め

力ボタンのように表の釦の真裏に付いている事が多く、メンズパターンの場合右前身頃の端に開いている釦ホールに留めます。

世界的にみるとこちらが主流で、後述の引っ張り留めはほとんど見られません。

 

 

 

引っ張り留め

左脇当たりから裏地と同じ生地でストラップが伸びており、右前身頃の端の釦を留めて形を保ちます。

日本発祥と言われており、ソフトスーツ(シルエットがかなり大きいデザインで、バブル期にかなり流行っていた)で釦留めだと皺が寄るため、生まれたと言われています。

 

年配の方だとこちらを希望される方も多いです。

 

 

 

見えない部分にはなるので、本場に合わせて釦留めにするかシルエットを重視して引っ張り留めにするかは好みで良いかと思います。

 

※一部工場などでご対応できない場合がございますのでご相談ください。

 

 

名古屋セントラルパーク店 鈴木(晴)

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