トラウザーズの話 股上編【名古屋セントラルパーク店】
こんにちは。
鈴木(晴)です。
今回は、トラウザーズの股上についてです。
採寸をしていると、「足を長く見せたいから股上を浅くしたい」「股上が深いのは短足に見える」とおっしゃる方が非常に多いです。
全員もれなく細身のシルエットをご希望される方です。
しかし残念ながらそれは大きな間違いです。
そちらについて解説していきます。
そもそも股上とは
トラウザーズの内股の合わせ部分から、ウエストの一番高いところまでの長さのことです。
あくまでも平面でおいたときの直線の長さです。曲線の長さではありません。
ここ20年ほどは股上の浅いローライズが流行っていました。
さて、本題です。
まずはこの写真をご覧ください。
左:股上が浅い
右:股上が深い
どっちが足が長く見えますか?
恐らく右と答える方がほとんどでしょう。
左はすっきりして見えるものの、胴長に見えます。
その理由は履き位置にあります。
人間は単純なもので、上半身と下半身の境目に分かりやすい目印を探します。
この場合はシャツとトラウザーズの境目です。
錯覚によってシャツの範囲を上半身と誤認してしまうため、股上が浅いものを履いていると胴長に見えて足が短く感じます。
逆に股上が深く、履き位置が高いとシャツの見える範囲が小さくなるので、足が長く見えます。
ではなぜ股上が浅い方が足が長く見えるという勘違いが生まれてしまったのか。
前述したとおりここ20年ほどは股上が浅いパンツが流行っています。
股上が浅いとお尻に食い込まないように自然と履き位置が下がります。
一過性のある、数年で廃れるような流行であれば問題なかったのですが、あいにくそれが数十年と続いてしまいました。
その状態が続いた弊害で低い履き位置が標準だと思い込んでしまいます。
その認識のまま股上が浅いパンツと同じ履き位置で股上が深いパンツを履くと足が短く見えます。
ストリート系のファッションを思い出してください。
股上がかなり深く、股下が短い。
太ももの中間部分に内股の合わせ部分が来ます。
極端に言えば彼らのイメージする股上の深いトラウザーズはあのような履き方です。
それでは誤解が生まれるのも仕方がないと言えます。
最初の画像のハイウエストを無理やり下げてみました。(右)
股下の開始位置が太ももにかなりかかっているので、歩きづらく感じます。
また、皆さまが思っているように足が短く見えます。
履き位置と股上の関係は
浅い:腰骨と同じ高さ~それより下
普通:腰骨より上でへそよりも数cm下
深い:へそと同じ高さ~へそより上
という認識でいいかと思います。
では最初の画像を改めて見てみます。
左の股上が浅い方は、腰骨とちょうど同じくらいの高さです。
この高さでは靴ひもを結ぶのにかがんだり座るだけで後ろ側のシャツがかなり出てきます。
右の股上が深い方はへそと同じ高さです。
正直、ここまで深いものをお勧めする事はクラシックに着たいという方以外はありません。
平均的な腰骨の上~へそ下あたりで履いていただくだけで、下がってくるトラウザーズをいちいち上げたり、シャツが出てくると言った悩みが解消される可能性があります。
また、心なしかウエストが細く見えます。
採寸時、「股上が浅い方がいい」ではなく「足を長く見せたい」等ご自身で考えた対策ではなく悩みやどう見せたいかをご相談いただければ、さまざまなご提案ができるかと思います。
ぜひご検討下さい。
名古屋セントラルパーク店 鈴木(晴)