嘘マナーが蔓延る今こそ、弔事のマナーを改めて【名古屋セントラルパーク店】
こんにちは。
鈴木(晴)です。
最近、聞いたこともないようなマナーがどんどん生まれています。
それらしく歴史から引っ張ってくるものもあればダジャレのこじつけのものまで様々です。
しかし本来、マナーとは相手を不快にさせない・自らの品位を落とさないための行動です。
ネットも昔に比べてどの情報が正しいのか見抜くのが難しくなってきました。
間違った情報だと認識できず、嘘マナーが広まってしまうのは仕方のないことだと思います。
なのでこのあたりでしっかりとした装いをご紹介します。
礼服の種類
礼服は大きく分けて3つに分類されます。
・正礼装
スーツが出来た当時、貴族たちが着用していた服装がもとになっており、最も格式高い服装です。
時間帯によって着用する服装が異なりますが、現在では形骸化されています。
例:モーニングコート、イブニングドレスコート(燕尾服)
・準礼装
正礼装は催しの主催や国のトップなどが参列する儀式において着用されるものですが、催しに参列といった相手よりも各を下げなければいけない場合や、ややカジュアルな晩餐などで着用する服装です。
例:ディレクターズスーツ、ディナージャケット(タキシード)
・略礼装(ブラックスーツ)
準礼装よりもさらに格を落とした装いで、慶事や弔事などの参列での着用を認められています。
艶のない黒の生地で仕立てられたもので、現在一般的に礼服はこのブラックスーツを指します。
※それぞれの詳しい内容については追々更新していきます。
さて、今回紹介するマナーは弔辞で着用する「喪服」に関しての着こなしです。
喪服はいわゆるブラックスーツとなりますが、どこに位置するかというと人によって解釈が分かれるところです。
もともとは略礼装でしたが、ダークスーツの格が繰り上がったのに伴って準礼装に格上げされたという人もいます。
個人的にはブラックスーツは略礼装のままで、範囲が広がってダークスーツが略礼装に含まれるようになったという考えです。
デザイン
弔事で着用されるブラックスーツはデザインに決まりがあります。
ジャケット
・フロントデザイン
シングル、ダブルどちらも問わず着用できます。
釦の数に関しては数に指定はありませんが、シングルの場合は1~2つ釦程度にしておいたほうがいいでしょう。
・衿(ラペル)
シングルブレストでのピークドラペルはややカジュアルな印象になるのでノッチドラペル、ダブルの場合はピードラペルとフロントデザインに応じて標準にするのがいいと思います。
・袖釦
国際的な標準は4つ釦ですが、日本では3つ釦が主流です。
4は「死」を連想させるという理由から避けられています。
しかし、近年ではそこまで気にする人もいなくなっているので数はどちらでもいいかと思います。
重ね釦はやめましょう。
これはイタリアでのみ付けられる装飾的なデザインです。
・ベント
本来の礼服ではノーベントです。
しかし近年ではセンターベントやサイドベンツもありとされています。
英国のロイヤルファミリーの着こなしを見ると、サイドベンツで着用している画像がよく見受けられます。
トラウザーズ
・プリーツ
1タックでもノータックでも問題ありませんが、ノータックはややトレンド感のあるデザインとなります。
また、座ったり食事もあることから、可能ならばプリーツを入れた方が楽だと思います。
・裾口
シングル一択です。ダブルはややカジュアルなデザインになります。
小物
・釦
小物とは少し違うかもしれませんが、スーツに使用する釦です。
殺生を連想するとして水牛釦はダメと話す店員も多いですが、それを言ってしまうとそもそも革靴の時点でアウトです。
しかも水牛釦は角の削り出しのため、牛の命は奪いません。
ですので黒でつやが控えめであれば、水牛釦も全く問題ありません。
・ディンプル
お葬式マナーで一番聞くのがネクタイにディンプルを作ってはいけないというマナーです。
ディンプルはネクタイを立体的に美しく見せるくぼみだからという理由らしいです。
ですが、これは大きな間違いです。
まず、ディンプルは作るものではなく自然にできるものです。
そしてネクタイに限らずスーツ自体が平面的な男性の体を美しく立体的に見せるための服装なので、ネクタイだけ平面に見せても全く意味がありません。
また、ダイアナ妃の葬儀の写真をみると、チャールズ皇太子含め各国の要人は全員ディンプルがあります。
※こちらはほぼダークスーツでの参列でしたが、弔辞であることには変わりません。
(出典:写真で振り返る、悲しみに包まれたダイアナ元妃の葬儀)
基本、これらに気を配っていれば問題ないかと思います。
ルールやマナーにはしっかりとした歴史と理論があります。
いつ、どこで、何のために生まれたのかをしっかりと調べれば、それが正しいのかが見えてきます。
海外を手本にしたところで場所は日本だから関係ないといえばそれまでですが、正しい着こなしを語る上では、スーツ発祥の地イギリスを無視するわけにはいきません。
ぜひ参考にしてみてください。
名古屋セントラルパーク店 鈴木(晴)