コンジット・カット【名古屋広小路通り店】
こんにちは。
鈴木(晴)です。
本日はタイトルにもあるコンジット・カットとは何かについてです。
ビスポークでも有名なスタイルですが、なかなかパターンオーダーで見ることがないので、ご紹介します。
コンジット・カットとは
イギリス、ロンドンにある高級テーラーが集まるサヴィル・ロウという通りは有名かと思います。
そこに隣接するメイフェア・コンジット通りもまた高級テーラーが集まっており、コンジット通りで仕立てられるスタイルのことをコンジット・カットと呼びます。
発音の違いではありますが、「コンデュイット・カット」とも呼びます。
アンソニー・シンクレア、シリル・キャッスルなどが有名で、どちらも007のスーツを手掛けています。
コンジット・カットの特徴
1960年頃、イタリアのゼニアというブランドの生地が販売数・品質が世界一となったことで英国内でイタリア系スーツに対する見直しが行われました。
その流れから、イタリアやフランス雰囲気を取り入れられているのが特徴です。
・フロントが2つ釦
伝統的な英国式スーツはVゾーン(ネクタイやシャツが見える範囲)が狭い方が好まれていました。
そのため1930年頃までは4つ釦、5つ釦とかなり多いものが着用されていました。
時代が進み、Vゾーンについてもかなり寛容になり広くなっていきましたが、それでも3つ釦が主流でした。
前述のとおり、イタリア系スーツの取入れにより、2つ釦が使われるようになりました。
・ナチュラルショルダー
当時のイギリスでは厚くしっかりとした肩パッドを用いて反りあがった肩(コンケープドショルダー)と袖山が盛り上がった形(ビルドアップショルダー)で男らしさを演出するというのが常識でした。
若干の窮屈さを感じている人も多く、現在のスーツと同じナチュラルショルダーで肩回りを楽に仕上げる形も特徴です。
・ウエストシェイプ
明確な名称はありませんが、ウエストシェイプのラインが若干異なると言われています。
英国はバストの横幅が大きく見えるような型紙でウエストを細く絞るイングリッシュ・ドレープというシルエットです。
それに対してコンジット・カットではウエストをそこまで絞らない形が多いです。
バストのシルエットはハウススタイルによってさまざまなので明確にこれというのはありません。
あくまでもこれはウエスト部分に限ります。
後述するフロントのロングダーツも合わさってそれほどゆったりしたシルエットには見えません。
・エクステンド・ダーツ
通常ジャケットのフロントダーツは胸から腰ポケットまでの物が一般的ですが、コンジット・カットではポケットを通り越して裾まで入っています。
緩やかなウエストシェイプと合わせると裾の広がり(ケマワシ)を抑える効果があり、全体的にスマートな印象を与えることが出来ます。
強くウエストをシェイプすると逆に変な広がり方をするため、あまり好まれません。
実はコンジット・カットに明確な形の定義がありません。
ただ、このエクステンド・ダーツのデザインは共通で用いられているとされています。
先ほどパターンオーダーではほとんど見ることがないと書きましたが、グローバルスタイルにはございます。
それがカイザーモデルです。
カイザーモデルはこのコンジット・カットの特徴を内包しています。
さらに一部ハンドメイドで肩回りの着心地やヒップから太ももにかけてのシルエットがきれいになるよう仕立て上げています。
ぜひご検討ください。
鈴木(晴)