シャツを語る:やはり英国のシャツが一番格好がいい【名古屋広小路通り店】
こんにちは。
鈴木(晴)です。
最近シャツをいくつか購入してシャツに対する意欲が高まってきてます。
その意欲のまま各国のシャツの特徴を好き勝手に語る語るシリーズを始めようかなと思います。
今回は第一弾、英国編です。
シャツは英国、イタリア、フランス、アメリカの4ヶ国が主要な生産国です。
例えば以前知り合いのものでイタリアの有名ブランドであるフライのシャツを羽織ったことがあります。
ただただすごいという感想しか出てきません。
立体縫製で体に沿うように作られていて、動きにきれいに付いて来てくれるシャツで着ていることを忘れるようなシャツでした。
第一弾でいきなり結論を書いてしまいますが、シャツの着心地・クオリティに関しては間違いないくイタリアが最高峰です。
しかし、私が格好が良いと思うのはやはり英国のシャツでした。
(私が英国好きなので多少の贔屓目はあるかもしれません)
英国のシャツは着ると引き締まる感覚があります。
自然と背筋が伸びるようなまさにドレスシャツです。
それでいて着心地もいい仕上がりです。
英国シャツの特徴
①襟
シャツの顔ともいえる襟です。
形は開きがそれほど大きくないセミワイドから控えめなレギュラーが主流です。
ただし、ウィンザーカラー(別名ワイドスプレッド・カラー)と呼ばれる開きが大きい襟型も好まれています。
また購入当初は芯がかなり硬く、ネクタイを結んだあとに裏返すのも苦労するほどです。
20回ほど洗濯すると徐々に馴染んできます。
襟腰は低めが多く、3.5~4cm程度。襟の長さも7~8cm程度で剣先が体にぎりぎり触れるか触れないかの位置に収まります。
ドレスシャツであれば第一釦を留めてネクタイを締めますので、首回りはぴったりのサイズです。
一般的には指2本、首の実寸+2cmと言われています。
ブランドによっては、洗濯で縮むことを考慮して0.5~0.8cmほど大きく仕上げる店もあります。
②カフス
襟ほどではありませんが比較的硬めの芯が使われています。
形は小丸や直角、ダブルカフスといった詰まった形が多いです。
カフスのゆとりは腕時計をするかどうかによっても変わりますが、基本的には指が1~2本程です。
また、これはイギリスに限らずヨーロッパ全体に言えることですが、ガントレット釦という通常は剣ボロについている釦は排除されていることが多いです。
③前立て
表前立てが基本です。
これはシャツの素となった貴族の衣装には胸部分にフリルが付いていました。
それが簡略化して今の形になったのでカジュアル・ビジネス・フォーマル問わず表前立てになっています。
そしてこの前立てが英国製のシャツの一番の特徴なのですが、前立てのみステッチ幅が大きく入っています。
通常、襟やカフスと同じように標準の5mm幅でステッチが入るのですが、10mm前後ののステッチが入っています。
どこかでレールステッチという名称を見かけたのですが、ほとんど検索でヒットしないので正しい名前なのかは不明です。
※紹介はしましたが、グローバルスタイルでは対応不可のディティールですのでご注意ください。
例えば私の私物ですが「Turnbull & Asser」のドレスシャツです。
このようにほぼ等間隔でステッチが入っています。
④肩
肩幅はパッドが入っているのかと思うほどしっかりと肩先まで設定してあり、堅実な雰囲気です。
そしてスプリットヨークと呼ばれるデザインになっています。
これはヨークと呼ばれる肩から背中へかけてのパーツを左右の2つで構成されているデザインです。
地の目(生地の向き)が変わるので両腕を前に出す動作の際に生地が伸びてくれるので着心地が向上するというものです。
残念ながらグローバルスタイルのシャツはスプリットヨークでの仕立てはできませんのでご注意ください。
⑤袖丈(裄丈)
袖丈を指の付け根程まで長く設定し、カフス廻りを細くすることで袖が必要以上に落ちないようにしています。
これはシャツに対する美学の話ですが、この長めの設定によって袖部分に「パフジング」と呼ばれる生地のクッションが出来るのが美しいとされています。
(写真右)
スーツと同じく、シルエットの緩急をつけるためにあえてこんなサイズにしています。
前述のガントレット釦が付いていないのは、釦を留めるときれいなパフジングにならないからです。
他にもジャケットを着た状態で腕を大きく動かしたときに、肌が露出しないように長めに設定しているという理由もあります。
(左:釦を外した状態 右:釦を留めた状態)
写真よりももっと長く設定する店もあります。
⑥バックスタイル
肩甲骨辺りにタックが入っているサイドタックと呼ばれるデザインです。
これもまた腕を動かす際にゆとりとして機能してくれます。
⑦ポケット
英国に限らず、ヨーロッパでは基本的に胸ポケットは付けません。
これはシャツが下着だからなどと言われていますが、確かにそれもあります。
しかし本来のシャツの着る場面を考えると、わかりやすいです。
ウエストコート(ベスト)の下に着るのでポケットを付けたところでそもそも使いようがないということです。
大戦後、ウエストコート(ベスト)が着られなくなったことで世界的にビジネス用で使われ始めました。
それでもビスポークや仕立て屋ではポケット無しが主流のままです。
このように、英国のシャツは動きやすさを重視したデザインであることがわかります。
ただ、露出する襟やカフスに目一杯のこだわりを詰め込んだのがその特徴です。
それがにじみ出る恰好良さに繋がるのではないかと思います。
名古屋広小路通り店 鈴木(晴)