こんにちは。

 

 

鈴木（晴）です。

 

 

 

いつもスーツのディティールや歴史の話ばかりなので、今回はシャツのデザインについて話していこうかと思います。

 

 

 

今回紹介するのはシャツの中でも「前立て」と呼ばれる部分についてです。

 

前立ては大きく分けて3種類あります。

 

 

表前立て（プラケットフロント）

箱ひだに仕立てた細帯が特徴で、英国の標準デザインです。

最もクラシックでドレッシーなデザインです。

 

イタリア・アメリカ・日本においてはカジュアルシャツ、ボタンダウンシャツに多く、スポーティーな印象になると言われがちです。

 

 

その歴史はスーツの元となった貴族衣装として着ていたフリルが簡略化されたものです。

下記の写真はベートーヴェンですがジャケットとウエストコート（ベスト）、そしてその下にフリルの付いたシャツを着ているのがわかるかと思います。

 

 

 

 

 

 

裏前立て（フレンチフロント）

シャツの前端を内側に折り込んだ前合わせのことで、イタリア・フランスに多いデザインです。

装飾がないのですっきりとしたスタイルで生地や釦などを美しく見せるのに向いています。

イタリア・日本では、表前立てに比べてこちらの方がドレッシーだと言われることが多いです。

 

 

その歴史は調べても全く出てこなかった為不明です。

恐らく無駄な装飾を省いたであったり、仕事量を減らすためというようなものだと予想しています。

 

 

 

比翼仕立て（フライフロント）

前立てを二重にして、ボタンが見えないようにしたものです。

シャツのデザインの中では最もフォーマルを感じさせるデザインです。

タキシードやディナージャケットの際に着用されることがほとんどで、スーツで着ることはほとんどありません。

 

 

下着であるシャツに元々ついている釦を隠すことで格を上げ、フォーマルに見せるようになったのが起源と言われています。

 

 

番外編

プリーテッド・ブザム（胸ひだ）

胸部分がプリーツ仕立てになっており、タキシードシャツで多いデザインです。

レディースシャツの場合は普段使いのスーツでも着られています。

また、基本的にシャツとブザムは共生地で作られています。

 

（引用：Turnbull & Asser）

 

 

スティッフ・ブザム（マルセラ）

胸の部分にU字型や角形の切り替えがあり、別布を重ねたデザインです。

胴や袖はブロード、別布はコットンピケで作られている仕様が殆どです。

英国式では標準スタイルでプリーテッドに比べて装飾が控えめなため、結婚式の参列など自身が主催ではないパーティにぴったりです。

日本ではあまり見ることはなく、パターンオーダーで対応できる店はあまりないかと思います。

 

 

（引用：Turnbull ＆ Asser）

 

 

 

 

それでは、フォーマル用のドレスシャツが欲しい時はどれを選べば良いのでしょうか。

前提として、私個人の考えとなりますのでこれが絶対ではありません。

 

まず白無地であることが絶対です。

ブロードであることが望ましいですが、ツイルでもOKです。

 

サックスブルーも正直微妙です。他の色は絶対NGです。

 

次に前立てですがどちらでも問題ありません。

表前立てがカジュアルだとされるのはあくまでもカラーシャツに限る話だからです。

もし、白以外をどうしても着たいということであればタイによって変えるというのもありです。

 

例えばネクタイの場合は前立て、ボウタイの場合はプリーツ無しの比翼仕立てというような選び方もありです。

 

ちなみに胸ポケットがついているのはカジュアルなもので、イギリス・イタリアではポケット無しが標準となります。

日本、アメリカでは利便性からついているものが多いです。

パターンオーダーであってもポケット無しが選べない店は無いとは思いますが、念のため事前に確認した方がいいかもしれません。

 

 

結婚式に参列予定のある方や、仕事で少し気分を変えてみたい方はぜひご参考までに。

 

 

 

名古屋広小路通り店　鈴木（晴）