こんにちは。
鈴木(晴)です。
今回は久しぶりにディティールに関するお話です。
ゴージラインという言葉をご存じでしょうか。
スーツの印象を左右する重要な要素なのですがフロントデザインやポケット等と比べてわかりにくく、変更するには型紙(モデル)自体が変わります。
そのためパターンオーダーにおいてはスタッフから案内することは殆どないと言っていいでしょう。
そんなゴージラインについて語ります。
ゴージラインとは
上襟と下襟の間にある襟の切れ込みのことです。
この高さはトレンド・時代によって大きく異なり、与える印象も違ってきます。
また、ノッチドラペルやピークドラペル等の襟の形状によっても向き不向きが存在します。
ハイゴージ
具体的に何cm以上という定義はありませんが、ネクタイの結び目よりも上であることが多いです。
釦位置もやや高めに設定されることが多く、必然的に襟幅が細くなりやすいです。
そのため2000年代中頃から流行っていたタイトスタイルと相性が良く、現在はその時期に比べるとやや低くなっていますが、ハイゴージに分類されます。
下記画像は007でジェームズボンドを演じたダニエル・クレイグです。
彼がジェームズ・ボンドとなったのは2006年のカジノロワイヤルから2021年のノー・タイム・トゥ・ダイまででハイゴージの真っ只中です。
(引用:007/ダニエル・クレイグ)
ローゴージ
ハイゴージとは逆にネクタイの結び目よりも低いのがおおよそローゴージです。
釦位置はどの高さでも相性が良く、他サイトでは1990年代からハイゴージが主流だった等と記載していますが、実際は2000年代初頭までこのローゴージが多かったです。
下記画像は2002年に撮影された小田井涼平という俳優で2022年まで純烈というグループで歌手活動もしていました。
正面の写真ではありませんが、かなりゴージの開始位置が低いのがわかります。
(引用:ゾルダas北岡秀一 (双葉文庫 仮面ライダー龍騎文庫写真集) 2002年12月発行)
前述のとおり、基本的にモデルによってゴージの高さが設定されているので任意で設定が出来ません。
そのためデザインによっては注意が必要です。
代表的なのはハイゴージで太いピークドラペルにする場合です。
襟先が斜め上に伸びていくので、襟先が跳ね上がってしまうという点です。
これは大変みっともない形ですのでご注意ください。
※下からあおりで撮影して再現しているだけなので、実際は正面から見て肩からはみ出している状態を指します。
ネットの画像を参考にスーツを仕立てても何か違うと感じるのはこのゴージラインの影響かもしれません。
参考にしてみてください。
鈴木(晴)